浴衣に使われる染めは、大きく分けて二つあります。
いずれも型を製作し、白生地に色を乗せて行きます。
また最近では型のいらないインクジェットで色付けされる事も多くなってきました。
基本的に浴衣は生地を染めてから仕立てます。
Tシャツのように、出来上がった物に後から柄を入れる事はありません。(絵羽を除く)
染料による注染そめ
機械捺染(きかいなせん):顔料プリント
注染は主に一般用の浴衣に使われる染めです。
注染は一つの型で多色を一度に染められます。これによって浴衣の大量生産が可能となりました。
注染は、染まっては行けないところに糊を置いた生地を何層にも重ね合わせ、上から染料を注ぎます。染料の抜けを良くするため、台の下には真空ポンプがあり空気を抜きながら染料を強制的に下に抜いていきます。
上から注いだ後は、生地をひっくり返して同じ染料を注ぎます。
上下から注ぐ事で、しっかりと染色する事が出来ます。
生地を折り返すため、柄は正逆が出来ます。
文字の場合は、特に気を付けないといけません。
現在、旅館の浴衣の染めの主流は顔料でのプリントです。
顔料プリントとは、あらかじめ希望する色を作り、それを生地にのせていきます。
染めと違い希望する色で仕上げることができる反面、洗濯時に色落ちがしやすい欠点があります。
その色落ちしやすいトコロを補った業務用の旅館の浴衣専用のプリントが「ディクセル方式」です。
旅館で使われる浴衣は、何回も何回も洗濯をして、繰り返し使われます。
色落ちしない生地はありません。
そんな染め、プリント、糸染めした生地でも、繰り返し洗濯をすれば色は褪せてきます。
でも不特定多数の人が着る旅館の浴衣は、繰り返し洗って使うものです。
そのため、高い耐久性が必要となるのです。
※業務用の浴衣は、ディクセル方式をお薦めしますが、それほど耐久性のいらないプリントの場合【イベントなどで一日だけ着る、など)は、安価な通常プリントをお薦めいたします。
最近増えてきたのが、インクジェットによるプリントです。
注染でも顔料プリントでも、必ず”型”が必要です。
また新規の場合、型を作る期間も必要です。
ですがインクジェットの場合、型は必要ありません。(データの変換料はかかりますが)
その分スピーディに生地が出来ます。
また色数の制限もありません。
インクジェットの場合、耐久性はそれほどではないため業務用として使うには不安です。
また専用の処理が施された生地を使うため、割高になる場合があります。
ただ、インクジェットでのプリントは先進技術のため日々進化しています。
インクジェットを希望される方は、その都度弊社までご確認ください。