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袋入りの晒生地の話

「袋入りの晒生地」とは、手芸用品店など材料店に行くと売っている、1反ずつ個別包装されている晒生地のことです。

ちなみになぜ「白生地」のような名前じゃないのかというと、小巾の生地を織るときは漂白していない糸で織り、出来上がってから晒し加工をして白くするため「晒し加工済み生地」→「晒生地」となったと思われます。

 

で、話は横にそれますが、「無漂白の生地はありますか?」みたいな方がたまにいらっしゃいますが、「無漂白:晒しをしていない:クリーム色(キナリ色)」の生地というイメージらしく、晒生地をキナリ生地みたいなクリーム色に染めて販売するとよく売れる、という話を聞いたことがあります。

だいたい晒しをしていない生地なんて、表面にゴミやら脂やらがいっぱいついていて、病気になりそうで素手で触りたくありません。

使った人が健康被害を受けるような商品は、販売してはいけません。

 

 

で、この晒生地の反物なのですが、反物というからには小巾です。

小巾とは、約33cm~約40cmくらいの幅の生地で、呉服屋さんとかで売っている着物生地くらいの幅の生地です。

洋服生地は広幅(1mくらいの幅)を主に使いますから、小巾生地は和服用の生地幅と言えます。

となると、この幅の生地が流通しているのは”日本だけ”だったりします。

 

ついでに言いますが、先に述べた「キナリ生地を白くする晒加工」には2種類あります。

「洋晒し」と「和晒し」なのですが、「洋晒し」は主に広幅生地の晒し加工で1時間くらいと短時間で晒しを行います。

「和晒し」は小巾生地専門の晒し加工で、約3日ほどかけてゆっくり漂白していきます。

「和晒し」は加工後に化学物質が表面に残らないため、医療用に使われる生地は必ず「和晒し」で加工されます。

 

 

で、前提を色々書きましたが、袋入りの晒生地は日本だけのもの(もしかしたら他国にもあるかもしれませんが)

晒し加工も世界的に見ると特殊な「和晒し」で行うもの。

となると、高齢化でどんどん人が減っている繊維業界で、この「袋入りの晒生地」の生産が減っていることは想像に難くありません。

実際に国内生産はどんどん減っています。

 

よく聞くのは、小巾生地を中国で織りそれを日本国内で晒しする、という方法ですが、日本の晒工場の集中しているところは大阪と愛知県なのですが、愛知県の晒工場はもうほぼありません。メインで動いているのは大阪の工場です。

 

この晒生地、1反ずつ袋入れして販売しているだけでなく、手ぬぐいだったり浴衣だったりと他にも当然使われます。

で、手ぬぐいや浴衣に使われる生地がメインで、袋に入れて販売されるのは一部です。

 

 

浴衣や手ぬぐいがどんどん値上がりしている今、当然袋入れの晒生地も値上がりしています。

 

 

丸巻きの晒生地も、わざわざ丸巻きに巻き直しているわけで、その分コストが掛かっています。

なので通常の反物よりも割高です。

 

今、大阪の晒加工組合では、皆なそろって値上げをしています。

これはたくさん儲けようとしているのではなく、このままだと晒し工場が無くなってしまうからみなで守っていくための値上げです。

といいますか、繊維問屋などの仕入先はこの時代でも値下げ強要してきます。

「安くないと買わないぞ」「他で買われたくなかったら安くしろ」

この脅しから守るための皆での値上げです。

 

実際他の産地では、問屋に色々言われるからもうやめる、と辞めた工場もあります。

元々年金で暮らしていけるようなお年寄りが動かしている工場が多いので、辞めるとなるとすぐに辞めます。

 

で、値上げも暴利ではなく、最低賃金に沿う値上げです。

なので今後の晒し工場、晒し業界を守るための値上げを了承していただきたく思います。