盆踊りの時期と少々外れますが、浜松盆部主催の盆踊りイベント「踊る!えんの市」が開催されました。
今年の目玉は、久方ぶりに踊られた「へちま音頭」。
自分も全く知りませんでしたが、戦前の浜北(現・浜松市浜名区」は日本有数のへちまの産地でした。
化学繊維などが広がるにつれてへちまの生産は減少していき、今ではへちまの産地だったことを知る人もごくわずか。
ヘチマの減産が目に見えてきたときに作られたのが「へちま音頭」とのこと。
この「へちま音頭」の楽譜を浜松盆部の部員が見つけ、その後音源も見つかり、その音源に合わせて振りを付けて今回のお披露目となりました。
そういえばですが、自分も浜北の縫製屋さんに行くときにヘチマの看板をよく目にしていて、なるほど元々の産地だったのかと納得しました。着物つながりでいうと、ヘチマの帯板があったりします。

盆踊りとなると、やはり気になるのが浴衣。
どんな浴衣を着てくるのだろう、と気になってきます。
以前から思っているのは、「踊りの浴衣と街遊びの時の浴衣は違う」ということ。
今では浴衣を着る人がとても少なくなっていますが、昔は夏の着物として皆が浴衣を着ていたわけで、となるとTPOに合わせて着るものを変えるのも当然のこと。洋服でいうと、ジムに行くときと飲みに行くときは違う洋服と同じことです。
「えんの市」踊り始めはまだ薄明かりのある中で、浴衣もはっきりくっきり見えています。
改めてみると、注染、プリントだけでなく、しぼりやロウケツ染めなど、デザインだけでなくいろいろな製法の浴衣があります。
やはり可愛らしいのはプリントでしょうか。
淡い色合い、かわいいモチーフのものから、ビビットなデザインまで本当に様々。
実際に作っている方としては、プリントが一番制約が少なくて作りやすかったりします。

徐々に日が落ちて薄暗くなっていきます。
細かな柄が見えなくなってきました。
どちらかというと大柄のデザインのほうが目立ちます。
色もピンクとか紫とは同じような印象になってきます。
盆踊りは夜に踊るイメージが強いと思いますが、夜の屋外をイメージするとどのようなデザインの浴衣が良いのかわかってくると思います。

踊りもたけなわ。
日もとっぷり暮れて、空には星がまたたきます。
こうなってくると、やはり白地に紺色の浴衣が一番映えます。
「紺時に白」ではなく「白地に紺」です。
またデザインも大柄の方が見栄えがしてきます。
今は電気の明かりですが、昔は松明などの明かりだったでしょう。
顔もよくわからない闇の中、浴衣の柄で誰かを区別することもあったのではないでしょうか。
そう考えると、明るい街なかに行くのなら、多少細かな柄でも良かったりするのは。
いろいろな色を使った華やかな柄の浴衣が街の明るさによく映えたりするのでは、と考えます。
今の時代、浴衣を複数枚持っている人も少なくなっていますが、でも行く場所に合わせて浴衣を変えるのはなかなか格好良いことじゃないかな、と思います。今では着物振興を目指すとして様々なデザインの浴衣も出ています。せっかくなので行く場所によって、複数の浴衣をきまわしていくおも良いのではないでしょうか。