プリントとは生地の上に顔料、もしくは染料を乗せていく染色方法です。
プリントではそれ専用の”型”を使います。
染料は化学反応で発色・定着を行います。生地(糸)の中心まで染料が染み込みます。
顔料はあらかじめ発色している微粒子を生地の上に乗せていく方法です。顔料は生地の表面のみにとどまります。
というのが基本的な情報として、このブログでも何回か記載していたりします。
顔料プリントは、「型を手で乗せて手作業でこすり生地に色をつけていく」「四角い型を生地の上にのせ機械でこすって色をつけていく」「円筒形の型を回転させ色をつけていく」、大きく分けると3つの方法があります。
プリントの工賃を考えると、速くプリントできればできるほど工賃が下がります。(生産効率が良い)
一番効率よく生産性が高いのは、「円筒形の型を回転させ色をつけていく」方法です。
型がぐるぐると回っていき、みるみるうちに生地に色がついていく光景は見事なものです。


この回転して生地にプリントしていく方法は、「金属ロール」と「ロータリースクリーン」の2つがあります。
以前は金属ロール型を使ったプリントが多かったのですが、金属ロール型は重量があり広巾生地にプリントするには型が重くて型の破損も多く、また型の円周も一般的なものですと約38cmと短く昨今大きな柄が好まれるようになったこともあって徐々に少なくなってきています。
「ロータリースクリーンプリント」は、円筒形のシルクスクリーンプリントの型が回って生地にプリントしていく方法です。
型は金属ロールと比べてかなり軽く、広巾用の型でも一人で背とすることができます。
金属ロール型の場合は型の外に顔料を付けて生地にプリントしていくのですが、ロータリースクリーンの場合は型の中を顔料が流れていき生地にプリントしていきます。

弊社でお願いしているプリント工場のロータリースクリーンは円周が64cm。
もっと大きな円周のロータリースクリーンもありますし、昔行った中国のプリント工場では円周2Mくらいのとても大きな工場も見たことがあります。
ですが、弊社でお願いしているプリント工場は、主に旅館・ホテル用の浴衣のプリントを行っている工場です。
旅館・ホテル用の浴衣の工場は、一般用の生地をプリントする工場に比べて規模が小さくなります。
大きな円周のプリント型を使えば1度に大量のプリントをすることができます。
ただ機械の運営コストを考えると、最低でも何千メーターの量が必要となります。
旅館・ホテル用の浴衣は、基本として100枚くらいの注文量。となると数百メーターあれば充分です。
また旅館・ホテル用の浴衣は、「ディクセル方式顔料プリント」という高耐久の特殊なプリントを行います。
ディクセル方式顔料プリントは、DIC認定工場でしかできません。
自分が知る限りDIC認定工場は浜松にある3つの工場のみです。
その工場にあるロータリースクリーンプリントの機械の型の円周が「64cm」ということです。

「少ない数量でオリジナルのプリントができる」というのは実はあまり知られておらず、弊社でも若干ですが相撲浴衣反物を作り出したくらいです。(相撲浴衣反物は120反~の希望反数なので)
ロータリースクリーンなら広巾生地もプリントできますので、アパレル用生地など色々な使い道があると思います。
そういえばですが、某生地メーカーから5つ星ホテル向けの浴衣縫製を承っているのですが、生地はその生地メーカーからの支給なのですが、その生地をプリントしているメーカーさん、いつも少量のプリントになっているのでとても大変だなぁとみています。
もちろんプリントも弊社でやりましょうか?との話もしていますが、結局生地はメーカーさん制作。
アパレル用の生地プリントなのでディクセル方式顔料プリントではないし(耐久性が低い)、10枚くらいの少量だし。
こちらとしては生地の手配をしてくれるのはとても楽なのだけど、プリントしている工場の事を考えると胸が痛みます。