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旅館浴衣のいちばん大事な事

何度かこちらのブログで書いていることですが、改めて書かせていただきます。

 

 

 

旅館浴衣にとっていちばん大切なことは、「洗濯時の耐久性」です。

 

他の衣類、浴衣と比べて大きく違うのが、「毎日洗濯をして使われる」事です。

しかも「不特定多数の人が着る」ものですので、それはそれは徹底的に洗われます。

家庭の洗濯なんか比べ物にならないくらいの洗濯です。

 

 

旅館やホテルに泊った時に出される浴衣ですから、自分の前にどんな人が着ていたのかはわかりません。

まして男女同じ浴衣だったりすると、若い女性の前にオジサンが着ている場合もあるし、その逆の場合も考えられます。

 

事前にどんな人が着ていてもきれいなように、洗濯は徹底的に行われます。

本洗の前には、「予洗」があり、「本洗」だって二回、三回、すすぎも三回、四回。

洗剤だけじゃなくて、殺菌。漂白などの薬品も入れます。

お湯を使う場合もあります。

 

それを高温のローラーで乾燥させてたたみます。

 

定期的に保健所の検査も入るし、とにかく徹底的に洗います。

 

 

これだけ徹底的に洗うとなると、それ専用の作りの浴衣でないと耐えられません。

 

水はけの良い「筒袖」。専用のディクセル方式顔料プリント。さらに強い色を組み合わせての色出し。生地も30/20と太い糸と細い糸を組み合わせた高い耐久性のあるモノ。

 

と、これだけの事を考えて作られているのは日本製の旅館浴衣なのですが・・・

じゃあ、外国製は?というと、まぁ売れればよいのかな、みたいな・・・

こう書くと文句を言ってくる人もいますが、まず普通の顔料プリントだし、強い色とか関係なく目立つ色を使っているし、生地は収縮率が高い=隙間が多い、糸の撚りが甘い、ということが、その品質の証明になったりします。

 

 

とにかく毎日毎日徹底的に洗濯をするのが前提ですので、それ専用に一から作っていかないときちんとした浴衣はできません。

 

 

以前、選べる浴衣を始めたばかり(20年くらい前)は、一般の浴衣の在庫品を柄とか関係なく箱買いしてきて、それを旅館やホテルで出していたところがありました。

一般用の本仕立てのプレタ浴衣を業務用として出していた、ということです。

当時はまだまだ安い浴衣が合ったので、本仕立てでも2~3,000円の物がありました。

あの、浅草とか京都とかで観光客向けにレンタルしているようなアレです。

 

で、実際に使ってみると、2、3回の洗濯で縫い糸はほつけるし、生地は破れてくる。

それを直してくれって要望がよく来ましたが、元々使用目的が違う作りなわけで、いくら直してもどんどん壊れていきます。

購入した元は旅館・ホテル側で、「洗濯が悪いんじゃないか」みたいなクレームが洗濯彌さんにきていました。

 

 

 

そう、一般の物を業務用で使負うと思っても使えない、という良い例です。

それだけ激しい洗濯をして、清潔な浴衣を提供しているのです。

その激しい洗濯に耐えられるのは、それ専用に作られた浴衣だけなのです。