弊社では相撲用の浴衣反物も作っています。
相撲用の浴衣反物とは、相撲部屋や関取が後援会の人々に配るものです。
毎年新しいデザインでこの反物を作ります。
形としては、直径約35cm巻の三つ折りたたみ。内熨斗で包装紙梱包となります。
他にも「丸巻き」とか「三つ折りたたみ」でも糸止してあったりなど違う形もありますが、弊社では基本的に三つ折りたたみと糸止なしで作っています。(希望があれば、丸巻きも糸止も対応します)
弊社は7~8年前から注文を受けて作っていのですが、最初は初めての事ばかりで大変でした。
そう、最初に注文を出してくれた呉服屋さんが色々と問題を起こす人で、弊社もたいへんな迷惑を被りました。
ただその時に普通では経験できないことも多く経験し、それが今につながっている点からすると、まぁ良い経験だったのかなと思っています。
その人が適当なことを言っていたお陰で、尾上部屋の親方が弊社に乗り込んできて、まぁその件は弊社は関係ないことがわかったのですが、その時に親方から「直接注文させてくれ」と話をいただきました。直接親方から話しを聞けるようになったので、色々と教えていただきながら今の納品の形に納まりました。
この相撲用の浴衣反物、親方や関取の希望するデザインになるのですが、全体的な傾向として濃い色を希望する場合が多いように感じます。具体的には、黒地の白抜きとかです。
この相撲用の浴衣反物ってコストも重用な要素の一つで、とにかく安く安く言われます。
一般的に呉服屋さんで浴衣の反物を購入すると3~5万円くらいします。
(高いか安いかではなく、業界水準としてです)
相撲用の浴衣反物は数千円/反です。
それだけ安いと色々なところが省略されたりして、原価をできるだけ安く抑えて作られます。
ですが、基本的に贈答用なので省略するにも限りがあります。
先に上げたように、希望されるデザインが黒地の白抜きとかですと、プリント不良がとても目立って出てきます。
このプリント不良をなくすため、旅館浴衣とかでしたらすぐにプリントするところを、相撲用の浴衣反物は二回晒加工をしさらに前処理をして、他にも職人さんが手をかけてくれた後にプリントをします。
それでもプリント不良はどうしても出てしまうため、少し多めに生地を投入します。
例えば1割不良が出るとして、120反の注文の場合132反プリントをします。
そうなると132反を120反で割った単価が生地の価格になります。
ようするに「歩留まり」の話です。
それが白地に1色くらいのデザインの時は、0.5割くらいの不良になるため128反プリントします。
ということは、128反を120反で割った単価が生地の価格になります。
黒地に白抜きと白地に黒色のデザイン、どちらが安くなるかというと、もう言わなくてもわかると思います。
そう、よく電話の問い合わせで「相撲用の反物1反いくら?」と聞いてくる方が多いのですが、デザインと希望される反数で変わってくるというのはそうゆうこともあります。
今年は格安の相撲用の浴衣反物が出ていました。
弊社としては、省いて良い手間は無く目一杯安く出していたので、本当に「???」でした。
で、その格安の相撲反物、やはり不良続出だったとの噂を聞きました。
後援会は最低でも500人以上いないといけません。
でもその中で浴衣の反物をもらえるのは、ごくごく限られた人だけ。
その最上位の人達の手に渡る反物が不良ばかりだとしたら、「ふざけるなっ!」と怒られても仕方ありません。
今年は燃料費や材料費の価格上昇が止まらず、相撲用の浴衣反物も大幅な価格上昇になります。
それ以上に生地の生産が間に合っていない状況があります。
来年はほんとうにどうなるのか予想が付きません。
一つ確実に言えることは、早め早めに動かないと反物が出来ないということだけです。