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注染手ぬぐいのグラデーション

注染の特徴の一つに「グラデーション」ができる点があります。

細かな部分部分でのグラデーションもあれば、手ぬぐいなどで見られる全体的なグラデーションもあります。

グラデーションができるということは中々すごいことで、たとえばプリントのような捺染ですと、こまかなドットで対応するしか無く、しかも色数によって型も必要ですし、ドットで対応するため色の移り変わり部分が不自然になりやすかったりします。

 

注染の場合はそれぞれ違う色の染料を端と端から注ぎ込み、自然に染料が混ざり合うようにします。

グラデーション部分には特別な型は必要ありません。

 

 

「じゃあ、グラデーションなら注染なんだ。」というと、何でもできるわけでもなく、できるグラデーションできないグラデーションが有ったりします。

 

簡単に言うと、「手ぬぐい全体にグラデーションを書ける場合に斜めにグラデーションは上手くできない」。

なぜ斜めのグラデーションができないかというと、染料は糸(繊維)に沿って入っていくから、になります。

 

手ぬぐいや浴衣に使われる生地の多くは、経糸と緯糸が直角に交わる「平織り」です。

ですので、縦方向、横方向のグラデーションでしたら問題なくできますが、繊維の向きとは違う斜めのグラデーションは上手くできません。

 

 

デザインをする人がこの事をわかっていればよいのですが、最近は「紙」にプリントする感覚でデザインする人が増えていて、そうなると注染ではできないデザインが出てきたりしています。

「どうしてもこのデザインで!」となると、インクジェットプリントとかになってしまうのですが、インクジェットプリントは顔料を生地に吹き付ける方法ですので、どうしても風合いが固くなります。手ぬぐいのような素肌に触れるものですと硬い風合いは使いにくいと思いますが、まぁ希望のデザイン通りにはできます。

 

 

 

ちなみに「注染」と「プリント」の見分け方は、裏地を見ること。

浦も表と同じように色が抜けていたら「注染」。

裏が白い、裏が白っぽかったら「プリント」です。

 

 

「注染」も「プリント」もそれぞれできる表現が異なります。

希望するデザインで「注染」か「プリント」かを選べばよいのですが、最近出てくるデザインのほとんどが「プリント」用のデザインばかり。

なんでしょう、もう少し作り方とか染め方とか勉強してデザインしてくれると助かるのですが・・