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見積もり小噺

某政令指定都市の交通局から晒生地の見積書を出して欲しいとの連絡がありました。

晒生地は某メーカーの銘柄を指定して、年間使用量最大360反とのこと。

 

実は一昨年同じ話をいただきました。年間360反と聞いていたのですが、最初に120反。それっきり注文がなく、年度替わりに文句を言ったら120反追加。

昨年また同じ話が来て、色々と考えるところもあったけど再見積もりを送りましたところ、他の会社の方が安かったためそちらに決まったとのこと。よくよく話を聞いてみると、いつも入れる会社は決まっていたが、一昨年から相見積を取ることになりそこで弊社に話がきたみたい。で、弊社が安く出したため(安く出したつもりはなかったのですが)今まで入れていた会社は困ってしまい、昨年はリベンジとして安く出してきたみたい。

 

で、今年も同じ話がやってきました。

 

 

「○○晒、今年も見積書を出してください。」

 

いえ、ウチは高いでしょうから出しません。

 

「決まりで相見積を取らないといけないんだから、出してもらわなけりゃ困るんだ。早く出してくれ。」

 

いえ、ウチから買う気もないのになんで時間を割いて出さなきゃいけないんですか?

 

「いいから!!早く出してくれ。ウチが困るんだから」

 

 

 

○○交通局って、多分役所の天下り先だと思う。

思いっきり上から目線だし、自分の都合だけ押し付けて来る。

腹立ったけど、さくっと高価格を出して見積書をFAX。

 

しばらくして先程電話してきた高齢っぽい人ではない、違う若い人の声で電話がかかってきました。

 

 

 

「あの・・見積書の数量が違います。それを訂正して社印を押して原本を郵送してください。」

 

数量は先程の電話で言われた通りの数量ですよ。あとウチから買わないのに見積書を郵送するんですか?

時間だけでなく実費もかかるんですよ。

 

「すみません、規則で相見積を取らないといけないので。あと御社のほうが安かったら御社から買いますよ。」

 

いえ、間違いなくウチは高いです。昨年買った会社の見積もりと比べればわかるでしょ。

 

「まだ他の会社は見積もりが出てないのでわかりません。」

 

なんでこんな簡単な見積もりがすぐに出てこない会社から購入するんですか?

とにかく、うちは見積書は出しませんから。

 

 

以前勤めていた会社の社長がよく言ってたのですが、

「見積もりは後から出せ。他の会社の見積もりが出たところで、一番安い見積もりから引いた金額で出せ。」

 

 

ホント、繊維業界はこんな輩が多すぎます。

もともと粗利の少ない業界ですので、最安値よりも安くするためにはメーカーに圧力をかけるしかありません。

以前勤めていた会社の社長も、かなり強引な値引きを行っていました。

 

お客様的には同じ品が安く入るからOKと思いますが、同じ品であるはずが有りません。

もともと粗利の少ない業界ですので、メーカーだって手抜きしなくては安くできません。

 

お客様的には同じ品が安く入ってOKと思っているでしょうか、レベルの低い商品になっている事がよくあります。

それに気が付かないお客様も・・・・

 

 

 

で、最初の晒の話。

もともと粗利の少ない業界です(三回目)ので、年間最大数の360反売った場合の弊社の粗利を計算すると、約2万円でした。

いやいや、粗利で2万円なので経費を差っ引くと、ねぇ・・・そんなに欲しい話ではなくなります。

無理して、嫌な思いして、手間かけてまで欲しい話ではありません。

大体お役人は、「民間業者ってたくさん儲けているんでしょ。」みたいに思っているようです。

そんな思惑があからさまに見え隠れします。

 

 

弊社としてはそんな駆け引きよりも、もっと親身になれるお客様に寄り添い、心を砕いて仕事をしたいと思います。