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モノを作るには想像力が必要

「モノを作るには想像力が必要」とは、作る側の話だけではなく注文する側にも必要な事です。

特に、旅館やホテルなどで使われる業務用の浴衣は、オリジナル柄のモノを希望されることが多く、その場合注文する旅館・ホテル側にも”想像力”が必須です。

自分の旅館・ホテルの中でどんな浴衣が映えるのか、よその旅館・ホテルとの差別化になっているのか。もっと言えば、お客さんが喜んで着てくれてSNSなどで自ら宣伝広告してくれ、また泊まりに来てくれるか。

 

どんなデザインの浴衣が良いのか、自らデザインして、とは言いませんが、どのようなイメージで浴衣を作りたいのかのイメージをきちんと持つことが大切です。

 

ブランディングを行う旅館・ホテルさんが増えていますが、きちんと宿泊されるお客様をイメージできないとブランディングは失敗となります。ましてコンサルタントにお願いしている場合は、高額な指導料だけ取られて結局のところお客様はそれほど来なかった、なんて事になってしまいます。

 

 

のっけから愚痴みたいな事を書いてしまいました。

というのも、最近問い合わせくださるお客様で、「ずらーっと商品を並べて、その中でコレっ!みたいに選びたい。」という方が増えてきているからです。

 

基本的にオリジナルの浴衣を作るときは、オリジナルなので既に出来上がっている完成品があるわけではありません。

なんか日本語がおかしいですが、本当に既に出来上がっているオリジナルの浴衣をいくつか送ってほしいと言われる事があります。

「オリジナルなので作らないと有りませんよ。」というと、納得するような納得しないような空気が漂います。

 

先日はオリジナルの作務衣の案件でも言われました。

”仕立見本と生地見本を送るので、それで想像してください” と話したのですが、「えー・・・・」みたいな雰囲気を電話の向こうに感じました。

多分、お客様の希望としては、色々な生地のいろいろな色で1着ずつ作務衣を作りそこから選びたかったのでしょう、もちろんサービスで。

 

 

数着試作品を作りその中から選ぶ、ちょっと作る側としては困ってしまいます。

逆に言えば「友達5人でこんど旅行に行くので、その前にサービスで1泊させてくれ。数軒の旅館・ホテルを泊まって、その中で良かったところに5人で泊まりに行く。」ということと同じではないでしょうか。

 

立場を逆にすれば分かってくださる事だと思います。

というか、これも想像力ですよね。

逆の立場を想像する、ということも必要ですし、根本的に宿泊客の気持ちを想像する必要性は言うまでもありません。

 

 

もちろん、最初から完璧なデザイン、生地指定、染め指定を出してくれないと作れません、と言っているわけでは有りません。

 

イメージがあやふやな部分があれば、できるだけお手伝いします。

生地だったら色々な生地見本をお見せしますし、デザインだっていくつかの案をお出ししています。

仕立見本も出しますし、状況によってはサンプル品を送り実際に使っていただく場合もあります。

 

要は、まったくの白紙状態だと困る、ということです。

で、白紙状態なので色々な商品を提出させその中から選びたい、ということはやめて欲しい、ということです。

白紙状態で色々出しても自分の希望が決まっていないため結局決まらなかった、ということもよくありま・・じゃなくてほぼそうなります。

 

 

オリジナルのモノを作る場合は、事前にイメージを固めてからお願いしたいと思います。

例えば、「和風」とか「年配のお客様が多い」とか「明るい館内」とか「庭がきれい」とかのイメージだけでも結構ですので、お願いしたいと思います。