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二条城にて

少し前の話です。(二週間以上前です)

京都に行ってきました。

Go toキャンペーンを利用し、想像以上の格安チケットでの旅行でした。

 

新型コロナ禍の影響で静かな京都を堪能しようと、修学旅行のように有名所を回ってきました。

二条城、金閣寺、銀閣寺、清水寺、龍安寺、南禅寺、伏見稲荷、嵐山・・・普段だったら観光客がたくさんいすぎて、近寄りたくないところですが、観光客が減っている今ならではと回ってきました。

 

 

二条城は、御所の守護と将軍が上洛したときの居城として徳川家康により築かれました。

徳川家光の時に大改修が行われ、その時に狩野探幽ひきいる狩野派によって数多くの障壁画が描かれたそうです。

 

 

二条城は外観も見事ですが、やはり中の障壁画が見どころです。

重要文化財に指定されている障壁画がずらーーーっと。

もう、「眼福」という言葉通り、良いものを観させていただきました。

 

 

実は事前に雑誌で予習をしての二条城でしたが、改めて実物の障壁画を目の当たりにして狩野派の凄さを感じることができました。

 

最初の御殿に入ると虎と豹の絵が目に入ります。

虎も豹も日本にはいない動物ですが、生き生きとして迫力のある画です。

この最初の御殿は、将軍に謁見をする侍が控えている場所とのこと。

将軍に謁見する緊張感と将軍への恐れが、この虎と豹の画で一層高まったでしょう。

 

将軍と対面する大広間では、巨大な松の木と鷹の画になります。

またそれを取り囲む様々な装飾。将軍の権威を体全体で感じられる場となっています。

 

 

一転して、将軍の普段の生活を行う「白書院」は、水墨画が描かれています。

白と黒で表現された襖絵は、とても心が落ち着きます。

 

 

狩野派が目指したのは、今で言うところの空間プロデュース。

訪れた人の気持を考え、操り、将軍の権威を高める、しかし寝食の場は心安らかになるような空間を作り上げる。

職業柄どうしても旅館やホテルに合わせて考えてしまうのですが、今の旅館やホテルでもブランディングデザイナーを採用する場合がよく見られます。

ですがそのような旅館やホテルは、この二条城のような形になっているのかというと、必ずしもそうではありません。

どちらかというと、広間は広間、食堂は食堂、部屋は部屋と独立したデザインで、どれもがぱっと見た感じでわかりやすい和風のでざいんだったりします。宿泊する部屋の壁がに金箔が貼ってあって風神雷神が描かれていたり、赤い壁に黒い柱の部屋だったり、とても旅で疲れた身体を休めるような部屋では有りません。某ホテルでは、地元の縞柄の生地を壁一面に貼り付けていて、これもまた心安らかになる部屋ではなかったりします。

ラブホみたいに短時間滞在して運動(?)する部屋だったら、アミューズメント感覚で派手派手でも良いと思いますが、数万円のお金をとって宿泊する場所が果たしてそれで良いのか、と疑問に思います。

 

さらに弊社は浴衣屋ですので浴衣も言わせてもらうと、着物のようなガッツリとした柄より、寝間着のような目に優しい柄の浴衣を提供したいと思います。

 

 

二条城は当時最高の技術を使った最上級の空間だと思います。

それを数百円で観ることのできるとても恵まれた現在。

 

文化ってその土地で育まれるものです。

京都のデザイナーなら、上記のようなことは当然なこととしてデザインしてくれるのかな。

だって目と鼻の先にこういった場があるんだし。

 

 

ついつい観光で入ったところで仕事のことを考えてしまうのは悪いクセです。

改めて、二条城や金閣寺、銀閣寺と行った有名所を回りましたが、やはり良いものは良いです。

とても楽しい京都旅行でした。