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弊社の仕事は

弊社の仕事について、「縫製工場があるんですか?」「染工場なんですよね。」みたいな捉え方をされますが、違います。

弊社は工場では有りません。ミシンがあるわけでも無いし、社内で浴衣を染めたりしてはいません。

じゃあ、何やっているの?となるのですが、弊社はお客様と工場の橋渡し役になります。

 

 

 

はい、わかりにくいですよね。

よく言われます。

 

 

例えばお揃いでオリジナル柄の本仕立ての浴衣を作りたいお客様がいるとします。

浴衣といえば注染染め、最近注染の浴衣がよく言われるようになってきたので、注染という言葉は知られています。

一般の人にとって、注染といえば染工場で作られるもの、といったイメージがあります。

 

お客様的には少しでも安く作りたい、なんて思うのは当然のこと。

じゃあ、って染工場に直接連絡する人たちがいます。

 

「オリジナルの浴衣を作りたいのですけど1着いくらで出来ますか?」

 

染工場:1着?1反では出来ませんよ。何枚欲しいんですか?

 

「50着作りたいんですが」

 

染工場:50着なら出来ますよ。だいたい◯◯円です。

 

「じゃあ、お願いします。」

 

染工場:わかりました、生地はいつ入りますか?

 

「え、生地は用意してくれるんじゃないんですか?」

 

染工場:いえ、ウチは染めるだけです。ちなみに縫製も出来ませんよ。

 

 

「わかりました、なんとか生地を手配します。」

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「生地を入れました。これで浴衣を染めてください」

 

染工場:お客様のデザインだと、この生地じゃあ染まらないよ。だって◯◯が違うし、◯◯だと◯◯になるから出来ないよ。

 

「いや困ります。なんとか染めてくれませんか」

 

染工場:申し訳ないけど、他の工場に行ってね。

 

 

ぶっちゃけて言うと、工場は工場なのです。

染工場は染めるので手一杯だし、同じように縫製工場も縫製したいのです。

きちんとした材料があって、きちんとした指示があって、それに基づいてどんどん作っていきたいのです。

 

 

そう、弊社の役割は、お客様の希望通りの浴衣を作るために、最適な生地を手配し、最適な染め方、染工場を手配し、それができる縫製工場に生地を渡し、それぞれの工程ごとに適切な指示を出す事なのです。

 

 

モノを作るって、けっこう大変なことです。

きちんとした設計図とそれに適した材料がないと出来ません。

 

昔、安いからって設計図の無いプラモデルをもらったことがあります。設計図がなくても楽勝、と考えたのですが、結局出来上がりませんでした。しかもそんなに難しい(子供にあげるくらいの)モノじゃなかったのに。

 

 

オリジナルのモノを作るには、まずお客様が希望する完成品のイメージがしっかりしていないといけません。

弊社が最初にやることは、お客様の完成イメージを作ること。

浴衣なら浴衣の完成イメージ、手ぬぐいなら手ぬぐいなど、それぞれの商品のイメージを作ります。

 

 

イメージが出来てから、じゃあ生地は何を使うか、注染かプリントか、仕立てはどこでやるか、など実際に作る時の段取りに入ります。もちろん工場の混み具合なども考慮します。

 

それから見積もりです。

きちんと筋道たってからでないと、責任のある数字は出てきません。

 

 

こんなこと書くと、「面倒くせぇ~」って言われます。言わなくても雰囲気が伝わってきます、ええわかっちゃうんです。

けどモノ作りって、半端なことでは出来ませんし、あとで追加費用が出たり、逆に安く出来てお客様から余分にお金もらったりはいけません。きちんとした見積り金額があってこそ、きちんとした物が出来上がってくると思います。

 

そう、最近日本ではモノ作り出来なくなったなぁ、と思うのは、見積もり段階で「面倒くせぇ~」みたいな事をいわれる機会が増えた事。実際に手を動かしている人が少なくなったからでしょう、こうゆう傾向になるのは。  はい、愚痴が入りました、すみません。

 

 

オリジナルの浴衣を作るには、専門的な知識が必須です。

生地に関しても、染めに関しても、縫製に関しても、すべての工程それぞれに専門的な知識がないと、浴衣は出来ません。

 

例えは、伝統的なお祭りを行う町内会の浴衣だったら、”綿生地、注染、本仕立て、もしくは反物で納品”だったり、旅館の浴衣だったら ”綿orTC生地、ディクセル方式顔料プリント、寝間着仕立て”といった知識が必要で、それぞれ違う工場への手配と指示が必要だったりします。ちなみに、化繊混紡の広巾生地で本仕立て浴衣を作りたい場合、地元の縫製工場では出来ないため他の地域の工場に出します。

 

 

といった感じで知識と経験と信頼が必要なのです。

よく誤解されている方が多いのですが、自分は客なんだから工場に言えば何でもやってくれる、ということはありません。

初めて連絡してきた個人の人は、怖いので工場は相手にしません。ホント工場では困っています。

工場ではきちんと自分たちの技術と今の状況をわかってくれていて、それに合わせて加工指示を出してくれる注文が欲しいのです。

 

 

ちょっとクドクド書いてしまいましたが、弊社の仕事の役割がわかったかと思います。

弊社は工場に迷惑をかけるような事はしません。

だからこそ、こちらの希望通りの商品が工場から出来上がってくるのです。