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旅館浴衣のサイズと必要枚数

旅館やホテルで使う浴衣を新しく作る時、いったいどのくらいの枚数を作ればよいのだろうと相談を受けることがあります。

 

よく言われるのが、収容人数と同じ枚数。

「収容人数が50人だから50枚で」

洗濯する分、使っている分、セットしている分も必要ですよ。

「じゃあ、150枚くらいあれば足りるね。」

 

実際のところ、浴衣をレンタルしているリネンサプライでも収容人数の5倍(5回転分)を用意します。

洗濯や運搬などを把握している業者ですら、5倍分です。

 

 

 

通常の営業では5倍分で大丈夫ですが、お盆や年末年始などの繁忙期にはリネンサプライの洗濯や回収が追い付かず、5倍でも足りない場合が出てきています。

今はどこの現場でも人手不足で、リネンサプライでも働く人が少なくて困っていると聞きます。元々賃金の安い業界ですので、人が集まりにくいようです。

 

 

因みに、新規で旅館浴衣を作る場合、大体100枚以上作るのがコスト的に良いのですが、100枚というと結構な数に聞こえるようです。

ですが先の「収容人数の5倍」と考えれば、100/5:20 収容人数20名の民宿規模でちょうどよい数という事になります。大体1部屋4名で考えれば、5部屋分です。

そう考えると100枚でも決して多くはありません。

 

 

「大体100枚くらい作るとコスト的にもこなれた値段が出てくる」というのは、実は生地のプリント工程のつごうによります。

なので100枚分の生地ができれば、後はその中でサイズ分けをして作ればよいわけで、例えば「Lサイズ30枚、Mサイズ50枚、Sサイズ20枚」というサイズ分けができるわけです。

 

 

ここでお勧めなのは、旅館浴衣は所望品ですので、大きめサイズを多めに作っておき状況をみてサイズを仕立て直すというやり方です。

 

※大きいサイズを小さくするのはできますが、小さなサイズを大きくすることはできません。

 

 

 

実は、旅館浴衣はサイズの違いは「身丈」の違いだけなのです。

(オクミの幅を変えた物もなかにはありますが、それは別途対応)

 

SでもLでも基本的には丈の違いだけです。幅も袖も同じなのです。

なので、Lサイズを多めに作っておき、MやSが足りなくなったらLサイズの浴衣の裾をカットしてSやMに作り変えることが可能なのです。

 

 

最近は縫製工場も少なくなってきましたので、繁忙期前の浴衣の受注に対応できなくなる場合が出てきました。

そこで不足分を新たに作るのではなく、とりあえず余っている大きめサイズの浴衣を作り直して対応する方が、早くて確実だったりします。

 

 

上記の写真の様に、裾をカットして三巻縫製します。

後はサイズネームを付け替えれば、サイズ変更完了。

 

実際、このサイズ変更はよくやっております。

 

他にも、旅館浴衣のサイズは決まったサイズが無いので、Mサイズと言っても旅館・ホテルそれぞれで違います。

なのでMサイズでも小さめのMサイズへ変更したい、というお客様からの相談も受け付けています。

また、「中国製の浴衣を購入したんだけど、大きいから小さくして」という話をいただきます。

 

 

 

旅館浴衣は、たくさん作れば作るほど生地の染め代が下がります。

ですので最初に作る時に多めに作り、そして大きめサイズを多くしておき、状況を見ながら小さくサイズ変更するのが結構賢い方法だったりするのです。

 

 

 

お客様ごとに色々な状況があると思います。

枚数やサイズについても、弊社へご相談いただければありがたく思います。