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ポリエステル生地の旅館浴衣

「これと同じ浴衣を作れる?」 と言って、ポリエステル100%生地の旅館浴衣の問い合わせをいただくことが増えてきました。

 

「旅館浴衣と言えば、綿100%」というくらい、木綿生地で作られることが多かったので、ポリエステル100%の旅館浴衣を見たときはかなりの衝撃でした。

と言いつつ、実はポリエステル100%の旅館浴衣はかなり昔からありました。ですが、今までの日本の技術では旅館浴衣生地に柄を付ける場合はスクリーンプリントで行うため、ポリエステル100%生地ですと染料にせよ顔料にせよ色が浮いてしまって染まりませんでした。

ですので今までのポリエステル100%生地の浴衣は、先染め糸を使って柄を出していました。

 

先染め糸=あらかじめ色を付けた糸、これを使い、経糸緯糸の”織り”物で生地を作ったものの他にも、収縮性のある”ニット(編み)”

で生地を作ったものがありました。

ニットの物は収縮性があり、体にそって意外と着やすかった事を覚えています。

 

 

ところが最近出てきたポリエステル生地の旅館浴衣は、薄手の地紋入りの生地に分散染料でインクジェットにて柄を付けたものです。

分散染料は、化繊専用の染料で分子レベルまで色が浸透するため、色落ちがほとんどありません。

その分散染料をインクジェットでプリントするわけですから、無限に色が使えて様々なデザインができるわけです。

 

 

 

簡単に、ポリエステル100%、インクジェットプリントの浴衣の利点と、今までの綿100%スクリーンプリントの浴衣を比べてみます。

 

 

ポリエステル浴衣


良い点

  • 非常に高い耐久性、上手に使えば10年以上持ちます。
  • 色落ちはほとんどありません。
  • 色が剥げる、毛羽立ちすることはありません。
  • インクジェットなら、無限に色が使えます。
  • 地紋付きの生地を使えば、品のある着物のようなデザインも可。

 

悪い点

  • 着た時に蒸れる、暑い。
  • ハリが少ないので、きれいに着にくい。
  • 帯電防止しても使っているうちに静電気が出ます。
  • 折り目が付くと消えない。
  • 長年使っていると臭いが染みつく。
  • 裁断縫製が、非常に限られたところでしかできない。
  • 高価である。

 

あと、未確認ですが、リネンサプライでのたたみ加工はどうなんでしょうか?普通に浴衣たたみ機でたためるのでしょうか。

たたみ機ではなくてローラーで仕上げる場合、温度は大丈夫でしょうか。

綿 浴衣


良い点

  • 着やすい。
  • 適度に汗を排出してくれるので、ぐっすりと寝られる。
  • 安価に作ることができる。(裁断縫製できるところが多い)
  • 仕上がりがきれい。

 

 

悪い点

  • プリントには型が必要。
  • 色数に制限がある。
  • ポリエステルに比べると耐久性が劣る。

 

リネンサプライに出しても問題が起こることはありません。安心してリネンサプライに出すことができます。

 


旅館浴衣は、不特定多数の人が着て、毎日洗濯に出されます。

その性質上、企業所有であるため、耐久性がとても重要視されます。

 

今回、改めてポリエステル100%生地の利点を書いてみましたが、この利点のほとんどは提供する側の利点です。

提供される側の利点ではありません。

 

 

私事ですが、以前泊まった旅館でポリエステル100%の浴衣を出されたことがあります。起きているときは「なんかべた付く肌触りだなぁ。でもまぁしょうがないか。」くらいだったのですが、それを着て寝たとき、というか寝ていられませんでした。暑くてべた付いて不快。本当に気が狂いそうになるくらい不快。

別件ですが、ポリエステル100%の本仕立て浴衣を着た時も、同じ感じです。短時間なら我慢できますが、長時間になれば「なんの拷問?」ってくらいに不快感が増します。

 

 

 

着る人の事を思えば、断然綿100%の浴衣です。

提供する側からすれば、ポリエステル100%が良いと思います。

 

宿泊したときどんな浴衣が出てくるかを見ると、その旅館がどのようにお客様を見ているのかが見えてきます。

 

 

 

後、上にもちょっと書きましたが、綿生地とポリエステル生地は縫製するミシンが違います。

ポリエステルを縫えるミシンを持っているのは、洋裁系の縫製屋が多いです。洋裁系は浴衣は縫えません。

なのでポリエステル100%の生地で浴衣を作るには、和裁もできる洋裁系の縫製屋でしか作れません。そういう縫製屋、ホントの本当に少ないんです。なのでコストが上がります。