弊社では色々な旅館・ホテル様から注文をいただき、そこで使われるオリジナル柄の旅館浴衣を制作しております。
当然なことなのですが、弊社だけでデザインを出して決めることは少なく、他のメーカーなどからもデザインが出てきて、そこで選ぶというパターンが大半です。
他のメーカーと言っても、商社、広告代理店、旅行会社など職種も様々。それらの会社の下には浴衣を実際に作っている会社が連なっていて、その下の会社から上がってきたデザインや、自社のデザイナーが作ったデザインを旅館・ホテルに提示します。
商社、広告代理店、旅行会社等の会社の場合、旅館浴衣をあまり知らない方がデザインを提供する場合が多く、そのようなところから出てきたデザインを見ると、顔をしかめてしまう場合が多く見られます。
簡単に言うと、浴衣を着た姿のデザイン画が出てくるのですが、そのデザイン画の殆どが若いモデルのような女の子、もしくはモデルのような男の子です。
海外製の旅館浴衣のカタログも、着ているのは若いモデルの男女です。
旅館やホテルに泊まる方って、モデルのような若い人ばかりではありません。
お年を召した方だっています。
太い方、細い方。大柄な方、小さな方も居ます。
この間打ち合わせをした旅館様の中居さんの言葉。
「派手な浴衣を出されても、私らは辛いわぁ。」
以前取引させていただいたリネンサプライ会社の部長。
「このデザイン、本当に使う人の事を考えて作ったの?」
個人的によく思うのですが、旅館浴衣のモデルはお年寄りの小柄な頭の薄い方が良いのでは無いでしょうか。
その方が、すべての人に合うデザインかどうかわかりやすいと思います。
せっかく作ったオリジナルの旅館浴衣です。
長く愛着をもって使っていただきたいと思います。
毎日洗濯をして使う浴衣です。
当然色落ち、毛羽立ちしてきます。
弊社が考える、いや浜松の染工場が考えるのは、濃い色のベタをやめて地紋を入れる事や派手な色ではなく、少し抑えた色を使うこと。
洗濯した時に汚れた水がどこにもたまらず抜けるような、耐久性があるような仕立ては、縫製屋さんが常々考えていることです。
海外製の旅館浴衣のカタログに載っている浴衣は、きれいなモデルを使い、派手な色とデザイン、本仕立てっぽい仕立て方です。
やはりパッと見てよく見えますので、とても売れています。でも耐久性はあまりなく、老舗の旅館・ホテルでは色々と問題が出ています。まだあまり知識のない旅館・ホテルでは、こうゆうものかと○○っぽい旅館浴衣をそのまま出していたりします。
長く使える、誰が着ても似合う日本製旅館浴衣を使うのか、ぱっと目をひく海外製を使うかはその旅館・ホテルの好みです。
ですが「一事が万事」という諺もあり、社会のポイントにいらっしゃる本物が分かる人にどう映るか、は一つの問題でもあります。