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中国製の旅館浴衣

旅館浴衣も含め、業務用の繊維製品の業界は「価格重視」の傾向が強いと感じます。

「質よりも価格」多少品質が悪くても、安ければ安いほうが良いということです。旅館やホテルで使われる繊維製品(浴衣、シーツ、カバー、タオル類)は、リネンサプライ業者からレンタルしているところが多いのですが、レンタル料を下げるため、リネンサプライ業の利益を上げるためにも、消耗品である繊維製品のコストを下げるのは必須です。これは批判スべきことでもなく、極々当たり前の考え方だと思います。

 

ですが、コスト削減の対象となる浴衣やシーツ、タオルなどは、実は宿泊したお客様が直接肌に触れるものがほとんどです。

良いもの、悪いものの評価は、すぐに出てきます、お客様がご自身の体全体で評価するわけですから。

 

 

この業務用繊維の業界でも安いものの代名詞といえば”中国製”。

中国製の浴衣を使っているところは、とても多いと思います。

中国製 旅館浴衣

Yahoo!ショッピング 竹久夢二柄 中国製浴衣

 https://store.shopping.yahoo.co.jp/ryokan-yukata/ccb4c6f3ca.html

 

 

こちらの浴衣は、竹久夢二が描いた美人画の中からデザインをとり、それを旅館浴衣にしたものです。

もちろん竹久夢二のデザインを管理する親族に正式に許可をとり、商品化をしたものです。

 

ただ製造は中国。中国製の何が悪いのかと言うと、旅館浴衣にとって大切な耐久性が低いこと。特にプリントに耐久性が無いため、色ハゲ、毛羽立ち、色移りをしてしまうこと。

また生地も厚く、糸の打ち込みが少なく、日本製ほど長くは持ちません。

 

日本製の浴衣は、特殊なディクセル方式顔料プリントでプリントされていますが、やはり日本製でも明るくて派手な色は耐久性がありません。日本製の場合は、耐久性のある色を混ぜて似たような色にしてプリントします。

中国製は耐久性は考えず、そのまま色をプリントします。

 

その結果、中国製はカラフルでよく売れ、日本製は地味と言ってあまり売れないのが現状です。

実際に日本の旅館浴衣のプリントの専門工場にてプリント工程を見ている自分としては、なかなか悔しい状況です。また中国製がたくさん使われることで、「旅館浴衣ってすぐにボロボロになるよね、そういうもんだよね」みたいな認識が広がるのも、非常に悔しく思います。

日本製の浴衣は、きちんとしたクリーニング工場で洗濯すれば、10年以上持つものなのです。