絵羽浴衣とは、友禅の着物のように決まった柄が裾や袖などに描かれている浴衣です。
本来は、白い浴衣に直接絵師が絵を描いたモノ。
でも今作るには、左身頃、右身頃、本襟、掛襟、奥身・・・といったようにそれぞれのパーツを作り(当然それぞれパーツごとに染め型が必要)、それを手縫いで縫製して作ります。
けっこうお金と時間がかかるのが「絵羽浴衣」だったりするのです。
「盆踊り用に浴衣が欲しいのですが。こちらから指定したロゴを1~2箇所入れて欲しいのですが。でできれば、左胸と背中くらいに大きく入れてほしいのですが。」
えっと、左胸と背中ですか・・・、となると絵羽浴衣ですね。申し訳ないのですが、いつまでに欲しくてご予算はどのくらい?
はい、後1ヶ月後に使いたいと。で、できるだけ安くあげたい、ということですね。
「はい、市のイベントなので、できるだけ費用は掛けたくないのです。後イベントまでに絶対間に合わせないといけません。」
なるほど、では在庫のあるカタログの浴衣に、シルクスクリーンでロゴをプリントするのはどうでしょう。プリントできる範囲は限られてしまいますが、型代と納期は節約できますよ。
カタログの浴衣を提案しましたが、でも時期は繁忙期間近。
まず30枚在庫が揃うものを探すことから始めます。
うーん・・・やはり時期が悪かったのか、30枚揃う浴衣は数点しかありませんでした。
でも仕方ありません。この中から選んでいただきます。
お客様が選んたのは、「河6821」と「奈6813」。
この浴衣のどこにプリントを入れるかですが、
「できるだけ大きく、ロゴを入れたいです。」
となると裾の斜めの柄に合わせるのが、一番大きくなります。ただ縫い目がありますので、目一杯入れられませんが。後はワンポイントで胸に入れるか・・・
「胸はユニフォームみたいですから、裾に入れてみたいのですが。」
わかりました。どんな感じになるか、写真を送ります。
まず入れられる大きさの確認。
自分の浴衣に、プリント型を乗せて大きさをみます。
この型を目安に、ロゴの大きさを合わせて、プリントアウトいたします。
それと同時に、一枚だけ実物を取り寄せ、プリントアウトしたロゴを乗せてみます。
「ちょっと小さいですね。」
ええ、でも縫い目があるからこれ以上大きくするとプリントできなくなってしまいます。
でも同じ収縮率でカラログの写真に合成してみます。
今回2色プリントなので、意外に目立つというか。
「わかりました。これでOKです。」
承知いたしました。
今回、シルクスクリーンは2色ですので本来は2つ型が欲しいのですが、1つの型で染め分ける方法をとります。これで型代が1つ分で済みます。
プリントのデザインが、赤の部分と黒の部分がかなりあいていたので、プリント型を一つでまとめることができました。1型よりも若干大きめの型になるので型代がかかりますが、2つ作るよりは安く上がります。
「製作はOKなのですが、請求書、注文承諾書など決まった書式があるので、それに合わせて書類を作ってもらえますか?」
役所や学校など公的機関の場合、色々と決まった形があります。
でも何度か経験していることなので、まず書式を送ってもらい、それに合わせてお繰り返して正式な発注をいただきました。(もっと色々と細かったのですが、ここでは割愛)
型の製作に2週間、プリントに1週間。
イベントに間に合うよう完成です。
決定までの時間が若干かかりましたが、イベントにはきちんと間に合うよう出来上がりました。
実際に浴衣にしてみると、正面に回ってくる身頃にプリントが入っていますので、思った以上に目立ちます。
イレギュラーなオリジナル浴衣ですが、時と場合によってはこのような浴衣もお作りいたします。