※こちらの記事は、「アッシュ・ペー・フランス」様の許可をいただき書いております。
GWを目の前に控えた天気の良いお昼過ぎ。
最初の電話は、いつも通りの「オリジナル浴衣を作りたいのですが、いくらで出来ます?」でした。
オリジナル浴衣を作るには、まず御希望するデザインが必要で、それに合わせて生地を提案、仕立てを提案して、それからお見積りです、と説明していたのですが、
「すみません、5月中に欲しいですが・・・」
!!!いや、今4月末だし、GWも控えているし、ちょっときついですねぇ。
「じゃあ、いつまでにデザインを上げれば出来ますか?」
うーん、今日明日のうちには欲しいです。
「わかりましたっ!」
ちょっとこれはとんでもない事になるかも、最初の感じはこんな感じでした。
でも担当の子も若そうだし、何とかしてあげたいかも。
基本的な生地巾と型の送りの大きさを連絡して、この大きさ内でデザインしてださい、必ず上下がくっつくようにお願いします。
最初の電話の翌日、早速デザインが上がってきました。
改めて会社名を聞くと「アッシュ・ペー・フランス」。輸入雑貨の超有名店です。
今回、嬉野温泉の旅館を借り切って、フランス人デザイナーの提案する日本の旅館のイベント用に浴衣が欲しいそうです。
もちろん上がってきたこのデザインも、フランスにて仕上げた物。これは凄く良い浴衣になりそうな予感。
ただ色数が多く、このままではかなり高価な浴衣になってしまいます。
しかも型代がかなりかかってきます。
まず問題点として、色数が多い事。デザインに上下が有るため、正面からは良く見えても背中は逆になります。(浴衣はシャツのように型で前後をつなぎません)
その二つを訂正して・・・え、フランスに連絡してもわかってもらえるかどうか・・
確かに浴衣は日本文化です。
着た事が無い人に説明するのは至難の業。
時間も無いし、こんな感じで直してもらえませんか、とこちらからデザインを提案します。
はい、この間デザインが送られてきてから1時間内の出来事です。
まずphotoshopにて色の整理。
グレーを無くし、黒もしくは色なしに変えていきます。
その後は、デザインを切り分けで再配置。
大きさも整えて何とか出来上がり。
それをすぐにメールにて送信。
デザインが送られてきてから、まだ2時間もたっていません。
「すみません、できれば浴衣を仕立てた時にどうなるかの画も欲しいのですが。」
そうそう、浴衣に仕立てた時の画が無いと、上下の話も伝わりません。
すぐに作成して送りました。
こちらからのデザインを観て、すぐに理解してくださったフランスのデザイナーの方々。
条件通りのデザインを送ってくださいました。
さて、これでようやく正式な見積りが出せます。改めて御見積りを提出し、確認をいただきました。
と、最初のお取引ですので、半金を前金でいただきます。
お振込確認後、すぐに製作へ。
それと同時に、色の指定。
ディックカラーにて指定いただいたのですが、改めてこちらから色チップをお送りし、確認を取ります。アナログですが、実物で合わせるのが一番確実です。
そういえば”帯”はどうするんですか?
「あ、帯!!欲しいです。どうしましょう・・・」
オリジナルで作るにはロットが多すぎます。
定番の中で決めた方が早くて確実です。何か色の希望はありますか?
「黒が良いのですが・・」
黒の定番品、となるとニット帯しかありません。
まずはカタログをお送りいたしました。
その中で選ばれたのが、No17-7くろ、No.13のうこん
すぐにこの二本のサンプルをお送りし、実際に選んでもらいます。
送り返されたサンプルに、「No.13のうこん にします」のメモが。
改めて帯の御見積りをお送りし、決定です。
その間も浴衣の製作は進みます。
予定通り2.5週間で染めが上がり、すぐに裁断。裁断後は縫製。
この縫製を頑張ってくれました。
たくさんの縫い子さんに配ってくれて、結局3日で完成!
最初にお話しをいただいてから、ここまで1カ月。
本当に頑張りました。
とあとひと手間。
たたみ直して帯とセットにし、袋入れです。
これでようやく出荷です。
今回、地元浜松が浴衣の生産日本一で有ることのありがたみを、しみじみ感じました。
最初のお話から1カ月で浴衣ができてしまうあたり、それぞれの工程を行う工場が近くに集まっているからです。
その後、「アッシュ・ペー・フランス」様のイベントは大成功に終わったとの事。
こちらの浴衣ですが、準備が整い次第HPで販売するそうです。
アッシュ・ペー・フランス
http://www.hpfrance.com/index-ja.html
浴衣販売ページ
http://zozo.jp/shop/hpfrance/goods/4166656/
今回とても良い浴衣が出来たと自負しています。
また良い企画に携われた事も感謝しております。
下記の動画にもこちら浴衣が出てきます。
ぜひ、ご覧ください。