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◯◯綿紬の旅館浴衣

時々耳や目にする「◯◯綿紬」の旅館浴衣。

よく作るなぁ。よく使うなぁ。

 

要は、着物用の縞柄の生地を使って作られた旅館浴衣は、あまりオススメできないということです。

 

 

遠州綿紬

なぜオススメできないのかというと、旅館浴衣用に作られていないので生地が弱い、ということです。

生地が弱いのに価格は高い、ということになると、それを購入した旅館・ホテルは本来のコスト以上にコストを掛ける必要が出てしまいとても大変ということです。

 

作っている方がきちんとデメリットを表示して、それを納得した上で旅館・ホテルが使用しているのでしたら問題はありませんが、旅館・ホテル側がそれを知らずに使って、「劣化が早いなぁ」「もう穴が空いた」「また買い足さないといけない」となってしまうのは大変です。

作り手が、メリット、デメリットときちんとお客様に伝えるのは当然です。

それを伝えないのは怠慢です。

 

 

◯◯綿紬のような、木綿の着物生地は、旅館浴衣よりも風合いが柔らかく、とても着心地が良いモノです。

風合いが柔らかいというのは糸の撚りが甘いのでしょうか。

糸の打ち込み本数も、糸番手も旅館浴衣用の生地とそれほど変わりませんので、糸の撚りが甘いのだと思います。

 

旅館浴衣は毎回激しい洗濯をして使われます。

殺菌剤や漂白剤などの薬品も使われます。

シワ伸ばしも、高熱の圧着ロールに通されます。

とても過酷な環境で使われるものです。

 

◯◯綿紬の様な着物用の生地ではその過酷な洗濯環境に耐えられません。

 

 

実際に、よその問屋にお邪魔しているときに、◯◯綿紬を使った旅館・ホテル様から激しいクレームが来ている場面に遭遇したことがあります。烈火の如く起こっているお客様。そりゃあ普通の旅館浴衣の何文の一くらいの期間で浴衣がだめになってしまったら、しかも湯痛の旅館浴衣よりも遥かに高い浴衣がそうだったら、怒りの電話をかけてくるでしょう。

 

 

生地のアップ

◯◯綿紬の生地は、先染めした糸を使って織られます。

この先染めした糸は、普通染料で染められる事が多いと聞いています。

 

旅館浴衣用には、最強の「スレン染め」で染めた糸が必要です。

スレン染めは、漂白剤や殺菌剤のような薬品を使っても色落ちが殆どありません。

ただ、染め工賃が高く、まして業務用として使われるような繊維向けなのでなかなか仕事量も確保できず、ええと今やっているところはあるのかなぁ。もしスレン染めで先染め糸ができる工場があれば教えてほしいくらいです。

 

先にも上げた過酷な洗濯環境で使われる旅館浴衣に、普通染料で染められた生地を使うのは、考えるまでもなく激しい色落ちとなります。

 

 

 

もうね、生地も弱くて色も落ちやすい、そんな生地を旅館浴衣に使うのは、無謀としか言えません。

せっかく風合いが柔らかくて着心地が良い記事なら、一般衣料として使うのが一番です。

旅館浴衣みたいな特殊な物は、やはりそれ用の生地を使うべきです。

 

 

個人的に良く口にするのですが、「適所適材」。なんでも一つのものですべてを網羅しようとするのが違います。

これだけモノが溢れている世の中ですので、それぞれにあったモノを使うのが一番です。