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手ぬぐいのデザインについて

手ぬぐいの制作に関して、よくお問い合わせをいただきます。

 

基本的に浴衣の制作をしているところは、手ぬぐいも作ることが出来ます。

手ぬぐいも浴衣も基本的に同じ技術で染められており、むしろ浴衣の方が技術的には高いものを求められますので、浴衣ができれば問題なく手ぬぐいも作ることが出来るのです。

(逆に手ぬぐいを作れる所が浴衣を作れるか、というとそうゆうわけではありません)

 

 

最近、よく感じるのですが、デザイナーが作り方をきちんと知ってデザインを起こすということが少なくなってきました。

 

手ぬぐいの問い合わせも同じ。

手ぬぐいの作り方を知らずにデザインが起こされてきて、「このデザインで手ぬぐいをつくるといくらになります?」みたいなことを言われて、こちらとしては価格がいくらの前にこれじゃあできません、とお断りすることが多くなっています。

 

もちろん、基本的に価格と納期をどれだけでもつかってよければ、大概のものは出来ます。

けど手ぬぐいですから、1枚1万円以上かけて作るのはいかがなものか、と考えてしまいます。

 

さらにデザインと一緒に、「きちんと裏まで色が抜けていて、色落ちしないやり方で」と言われる場合が多くて、さらに制作を難しくしています。

 

 

一つの例えですが、下のようなデザインの手ぬぐいをよく求められます。

下記のようなデザインですと実現するのに、非常に難しくなります。

 

 

「難しい」と書いたのは、インクジェットプリントだったらできるから。

ですが、インクジェットプリントでは裏は白地のままです。

それとインクジェットはインクのコストが大きいため単価が上がります。

 

あと可能性があるとすれば、アパレル用の直径の大きなロータリースクリーンを使う場合。

単価はある程度抑えられますが、必要になる最低ロットが非常に大きくなります。

また、プリント用の型代がかかります。(1色につき1型)

こちらもプリントなので、裏は白いままです。

 

どうしても裏まで色を抜けさせたい、という場合は、手捺染があります。

一つ一つ型を置いてノリをつけ、手作業で色をつけていきます。

とてもきれいに出来ることは間違いないのですが、非常に高価なものが出来上がります。

手ぬぐいなのに手を拭くのをためらわれるくらい高価なモノになります。

 

 

 

「できるだけ安価で」「でも本格的に」となると、やはり作り方に合わせたデザインが必要になってきます。

 

 

裏まで色が抜けていて、安価でとなると、やはり注染で染めるのが最適かと思います。

注染は一つの型で多色染めができますし、グラデーションもできます。

ですが、注染のデザインには色々な制約があります。

 

一つ一つ言っても中々わかりにくい部分がありますので、実際に作る場合は希望のデザインを注染で出来るデザインへとすり合わせをしながら作っていくことになります。

 

以前、「こうゆうデザインだったらいくらになって、こう変えるといくらになる、といった価格表を出してください。」と言われたことがありますが、デザインの世界ってそんな簡単な線引が出来るものでは有りません。

逆にそんなコト言ってくるデザイナーって心配になってしまいます。

 

 

 

デザイナーと作り手が共同して手ぬぐいを作るのか、それともデザイナーが希望するデザインを作れる工場をひたすら探していくのか、大体この2つが「オリジナル手ぬぐいを作りたいのですが」と問い合わせいただく時のパターンになります。

プライドの高いデザイナーだと後者。

で、最近多いのが、プライドの高いデザイナー。

 

まぁ、プライドの高いデザイナーの場合、企画自体がボツとなる場合が多いので弊社としてもあまり関わりたくないのですが。